ひな祭り

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うれしいひなまつり

あかりをつけましょ ぼんぼりに     お花をあげましょ  桃の花
五人ばやしの 笛太鼓          今日はたのしい ひなまつり

お内裏様と おひな様          二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした 姉さまに        よくにた官女の 白い顔

金の屏風に うつる灯を         かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか         あかいお顔の 右大臣

着物をきかえて 帯しめて        きょうはわたしも はれすがた
はるのやよいの このよきひ       なによりうれしい ひなまつり

うららかな春の今日。
桃の花を飾り、ぼんぼりに灯がともされると、楽し気な笛や太鼓も聞こえてきます。

嬉しさをかくしてお殿様とお姫様が、すましておられます
静かにほほ笑む三人官女のあの人は、お嫁に行った姉さまに似た、白くてきれいな顔をしています

春風にゆらめくぼんぼりの灯は、金のびょうぶにあそびます。
いつもは気難しい顔の右大臣も お酒を召して酔っ払ったのでしょうか。顔が赤いようです。

着物をきかえて、赤い帯を締めました。
雛と一緒に遊ぶ、おぼろな春の宵。今日は私のひなまつりです。

勝手に註釈してしまいました。

作詞はサトウ ハチロー。作曲は河村光陽。ともに裕福な家庭に育ち、明治から大正にかけ
活躍しました。
サトウ ハチローには「リンゴの唄」「小さい秋見つけた」。「べこの子 牛の子」「かわいいかくれんぼ」
河村光陽には「ホロホロ鳥」「カモメの水兵さん」「赤い帽子 白い帽子」等々、多くの人に親しまれた動揺がたくさん残されています。

それにしても「うれしいひなまつり」は、ひな祭りの情緒を余すことなく表現していて、心に染み入る見事な歌だと、今更ながら感動しました。

紙の人形から段飾りに

ひな祭りは中国から伝わった五節句の一つで、今では女の子の健やかな成長を願って行われる行事になっています。

古代中国では季節が変わるこの時期は、体調がすぐれなかったり、縁起が良くないとされ、沐浴をして邪気を払う習慣がありました。

これが日本に伝わり、紙人形を作って、自分の体を祓い、それを川に流して邪気を払う習慣となりました。流し雛の原型です。
それにしても、ひな人形の原点は、厄払いの紙人形だったようですね。

平安時代に入り、貴族の女子のおままごとのような人形遊びに変化し、時代を経て、飾りものに変化していったのです。

人形の制作技術も向上し、江戸時代には、武家社会で現在の段飾りが完成し、現代に至っています。

我が家のひな人形?

我が家には、母の母、つまり祖母が嫁いだときに持ってきたひな人形を、母がここに嫁いでくるときに、そのままもらい受けた古いひな人形がありました。
5段の段飾りでした。

現代のひな人形と違って、それは厳かなものでした。おそらく150年以上を生きてきた人形たちだと思います。
目が細く、夜はこれが光って見えて、前を通るのは怖かった思いがあります。

そんな人形たちでしたが、我が家に不幸が起きた時、古い人形には魂があり、それが災いしているなどと、まことしやかに言う人があって、神社に奉納してしまいました。

五月の節句人形も、同時に奉納してしまい、我が家に美しい人形達はなくなりました。
今思えば、なんと勿体ないことをしたのかと悔やんでみますが、もう戻りません。

それに引き換え、ハンドメイドのひな人形は実に様々で、賑々しいです。
優に2メートルはある、赤い猿めっこのいる、豪華な吊り雛。
木目込みで、丁寧にしきたりにのっとった内裏雛。
小さな人形の衣装から作り上げた力作もあれば、紙粘土で、ディフォルメしたユニークなものまで、けれど、どのひな人形を見ても、ウキウキと春の美しさを連想させます。

節句の華やかな食べ物

雛祭りの食べ物にも特徴があります。

まず菱餅。
「雪の下に新芽が芽吹き、雪の上に桃の花が咲いている」
ピンク・白・黄緑の三層でできた餅で、まさに春の大地がここに表現されています。

地域によって2層も、4層もあるようですがここでは3層について説明します。

中段は、まだ大地に残る雪の白です。清浄と純潔を意味し菱の実を入れて作ります。
下段は大地の下で、これから芽生える若草の色です。健康を意味しヨモギを入れて作ります。
上段は春を待つ桃の花の色でピンクです。魔除けの意味があります。明治になってくちなしの実を入れるようになりました。

特徴的な菱型にも諸説あるようです。
宮中で正月に食べる「ひしはな餅」をまねした説。
菱を食べて千年も生きたという仙人にあやかろうと菱型にした説。
繁殖力強い菱の実をイメージしたという説。
心臓の形に似ているからというように諸説あります。
いずれにしても健康で、長生きしたいとい思いが形になっているのです。

雛あられ
昔、ひな人形を野外に持ち出して遊ぶ習慣があったようですが、その時、食べやすいようにと、菱餅を砕いたものが雛あられです。

白酒
白酒もひなまつりに欠かせないお酒です。
桃は「百歳」モモトセの花、長寿を表す縁起の良いものとされ、桃の花を漬け込んだ桃花酒
(トウカシュ)を飲んでいたことが始まりで、江戸時代に白酒に変わっていったようです。

ハマグリの吸い物。
ハマグリの貝殻は対になっていないと合いません。つまり仲の良い夫婦で一生添い遂げてほしいという願いが込められていました。

この他にも、ちらしずしや、桜餅など沢山供されますが、近年になって加えられてゆきました。
五節句の中では、一番華やかで、晴れがましいお祭りです。
冒頭の「うれしい ひなまつり」が町に流れると、心が浮き立ちます。
待ち遠しいですね。

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