父の庭先から『花のある暮らし』

まだ早いと思ったが、車を手放した。ピンクのホンダのフィット。まだ1年も載っていない新車であった。
車のなくなった車庫は、吹き込むごみのたまり場となる。
そこで、私は車庫の後を花壇にしようと決めた。

なぜって、我が家は暗く寂しい。
ご近所が、あふれんばかりの花でいっぱいの時、我が家の庭といえば、こんもり緑に覆われたジャングルである。

実のなるものにしか興味がなかった父は、手入れが大変と言って、花には触らなかった。
この狭い庭に、柿が3本、ぶどう棚が2つ、グミ、あけび、イチジク、梅、ミカン、今は枯れてしまったが梨やキューウイの棚まであった。

加えて、馬酔木だ、ボケだ、椿だ、つつじが木の下で張り合い、さらにその下にはフキやら、なんやらがはびこっている。

だから、この時期、私は絶対庭には出ない。出たら最後、やぶ蚊の集中攻撃にあい、貧血で倒れそうになる。

「俺が死んだらお前の好きにしてくれ」
それから2年、私は花に囲まれた暮らしをしようと決めた。

そして、すぐに音を上げた。
鉢を上げればダンゴ虫。
蜘蛛にトカゲにナメクジ、ごきぶり。 出るわ! 出るわ!

全身が総毛立つ
もうやっていられない!!

これに打ち勝たねば、ご近所さんと肩を並べられないのだと思うと絶望感に打ちひしがれ、夢に描いたイングリッシュ・ガーデンが急速に遠のいてゆく。

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この記事を書いた人

6月生まれ
そのせいか、寒さより、暑さに強い
限界を超えた体重に苦慮して、昨年、カーブス入会
見た目より、感傷的で繊細(と自分では思っている)

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